工場の設備は日々稼働を続けるなかで、電気に関わるトラブルが突然起きることがあります。例えば、急な停電や漏電によって生産ラインが止まってしまえば、納期の遅れや設備の故障といった影響は避けられません。こうした“もしも”に備えるために重要なのが、電気保全の取り組みです。
日常的な点検やトラブルを未然に防ぐ管理を行うことで、安全性を保ちながら安定した操業を続けることができます。しかし実際には、どこまで対応すればよいのか、外部に任せるべきなのかなど、判断に迷う場面も多いかもしれません。
この記事では、電気保全の基本から、工場で起こりやすいトラブルの事例、そして保全体制を整えるうえで知っておきたいポイントまでをわかりやすく解説します。日常業務に追われる中でも、最低限おさえておきたい内容を整理しましたので、これから対策を考えたい方の参考になれば幸いです。
電気保全とは?工場における基本的な役割
工場の電気設備は、日々の生産活動を支える重要なインフラです。電気保全とは、これらの設備が安全かつ安定して動作するよう、点検・整備・修理などを行う業務のことを指します。特に工場では、トラブルが一度発生すると操業に大きな影響が及ぶため、事前の備えが欠かせません。
電気保全には単に故障を修理するだけでなく、日常的な点検や部品交換を通じて、事故や停止を未然に防ぐという役割があります。ここでは、その基本的な役割や管理の考え方について詳しく見ていきます。
電気保全の定義と目的
電気保全とは、工場内に設置されている受変電設備や動力機器、照明・配線などの電気設備が、安全かつ効率的に動作し続けるよう維持管理する活動のことを指します。目的は、設備の故障やトラブルを防ぐこと、そして長期的に安定した稼働を実現することにあります。
これにより、生産ラインの停止や火災などの重大事故を回避し、コストや安全性の観点からも企業のリスクを低減することができます。
保守管理と予防保全の違い
電気保全にはいくつかの考え方がありますが、特に重要なのが「保守管理」と「予防保全」の違いです。保守管理は、設備が正常に機能しているかを定期的にチェックし、必要に応じて修理・交換を行う作業全体を指します。一方で予防保全は、故障が起きる前に部品を交換したり、劣化の兆候を把握して対応するなど、トラブルを未然に防ぐ視点での管理方法です。
予防保全は特に工場において重視されており、設備の稼働停止をできるだけ避けるための施策として広く取り入れられています。
工場設備における具体的な対象例
電気保全の対象となる設備は多岐にわたります。たとえば、以下のようなものが挙げられます。
・高圧受変電設備(キュービクルなど)
・幹線や分電盤といった配電系統
・動力機器への電源供給設備(モーター・コンプレッサーなど)
・照明設備やコンセント
・太陽光発電設備
・非常用電源や誘導灯といった安全関連設備
これらはすべて、日常的に稼働しているため劣化や不具合が徐々に進行する可能性があります。点検や清掃、部品交換を定期的に行うことが、長期的な安定運用につながります。
工場の操業における電気保全の重要性
工場では、さまざまな設備や機械が常に稼働しており、その多くが電気によって動いています。こうした環境において、一度でも電気設備にトラブルが発生すれば、生産ライン全体が止まる可能性があります。日常的には目立たない電気保全ですが、操業の安定性や安全性を守るうえで欠かせない役割を果たしています。
ここでは、工場で電気保全が特に重要とされる理由について、リスクと対策の視点から整理します。
突発的な停電によるリスク
予期せぬ停電は、工場の運営に大きな影響を与える要因のひとつです。例えば、高圧受電設備の不具合や漏電、電線の劣化によって突然電源が落ちると、機械が停止するだけでなく、製品の品質不良やデータの損失など二次的な被害も起こり得ます。
また、作業中に急停止した機器によって、現場の作業員がけがをするリスクもあるため、単なる設備の損失では済まないケースも少なくありません。こうした停電を未然に防ぐためには、定期的な点検や機器の状態監視が必要になります。
設備トラブルがもたらす損失とは
設備の故障や不具合によって生じる損失は、修理にかかる費用だけではありません。生産停止による納期の遅れ、信頼の低下、仕掛品の廃棄など、企業全体の損益に影響する場合もあります。
たとえば、動力機器の不調によりラインの一部が止まってしまうと、その復旧に数時間以上かかることもあり、結果としてその日の生産計画全体に影響を及ぼすことも考えられます。こうした事態を回避するためにも、日常的な保全活動が重要となります。
生産性と安全性を支える保全活動
工場における電気保全の本質は、トラブルの予防と迅速な対応によって、日々の生産を安定して行うことにあります。定期的な点検や状態確認を行うことで、劣化や不具合の兆候を早めに把握し、必要に応じた対応が可能になります。
また、電気設備の安全な運用は、従業員の安全確保にも直結しています。例えば、配線の絶縁状態を確認することで感電事故のリスクを減らすことができます。こうした取り組みの積み重ねが、生産効率の維持と職場の安全性を高めることにつながります。
電気保全の種類と特徴
電気保全にはいくつかの分類があり、目的やタイミングによって異なる対応が求められます。工場における保全活動では、突発的な故障を防ぐだけでなく、設備の寿命を延ばし、安全性や効率を高めることも重視されます。そのため、状況に応じて適切な保全方法を選ぶことが大切です。
ここでは、主な電気保全の種類と、それぞれの特徴について見ていきましょう。
事後保全と予防保全の違い
まず基本となるのが、「事後保全」と「予防保全」という考え方です。事後保全は、設備が故障した後に修理・交換を行う対応を指します。いわば“壊れたら直す”というスタンスで、緊急性の高い対応が必要になることが多く、コストや作業負担も大きくなる傾向があります。
一方、予防保全は、故障を未然に防ぐために定期的な点検や部品交換を実施する方法です。あらかじめ問題を見つけて対応することで、突発的な停止を避け、設備全体の安定性を維持できます。工場では予防保全の導入によって、トラブル時の損失を大きく抑えることができます。
定期保全と状態監視保全のポイント
予防保全のなかにはさらに、「定期保全」と「状態監視保全」という分類があります。定期保全は、一定の周期で設備を点検・整備する方法で、たとえば3カ月ごとの受電設備点検などが該当します。作業の計画が立てやすく、運用において安定した対応が可能です。
一方、状態監視保全は、設備の状態をセンサーや測定器で常時監視し、劣化や異常の兆候が見られたタイミングで対応を行う方法です。必要なときだけ作業を行えるため、無駄を減らしつつ適切な保全が実現できますが、機器や人材面での対応体制も求められます。
どの方法を選ぶべきかの判断基準
どの保全方法を採用するかは、設備の重要性や故障時の影響、運用コストなどを総合的に判断して決める必要があります。たとえば、生産ラインの中核を担う機器には、状態監視を取り入れて迅速に異常を検知する体制が望まれます。一方で、使用頻度が低い設備であれば、定期保全だけでも十分なケースもあります。
また、工場全体としての安全性を保つには、どの設備がどの程度のリスクを持っているかを把握することも重要です。そのうえで、必要な部分には予算と時間をしっかり確保し、計画的な保全体制を整えていくことが求められます。
日常点検で見逃さないためのチェック項目
日常的な点検は、電気保全の基本ともいえる重要な作業です。設備に異常が発生してから対応するのではなく、普段からこまめに状態を確認することで、思わぬトラブルを未然に防ぐことができます。とくに工場では、複数の設備が連動して動くため、ひとつの不具合が全体に波及するおそれもあります。
ここでは、工場内で実施しておきたい代表的な点検項目についてご紹介します。
受変電設備の点検内容
高圧受電設備やキュービクルなどの受変電設備は、工場全体の電源を供給する重要な設備です。点検時には、以下のような項目に注目します。
・ブレーカーや遮断器の動作確認
・絶縁抵抗値の測定
・接地状態や端子部の緩みの確認
・冷却ファンの稼働状況や異音の有無
これらは安全面にも直結する部分であり、定期的な点検だけでなく、異音や異臭などの異常にもすぐ気づけるよう、日頃から注意を払うことが大切です。
照明や動力設備の確認ポイント
照明器具や動力系の設備も、長期間の使用によって不具合が起きることがあります。以下のようなポイントをチェックしておくとよいでしょう。
・点灯不良や明るさの変化
・コンセントやスイッチの緩み・発熱
・モーターやポンプの起動音や振動
・スタータや電源ケーブルの劣化具合
これらの変化は見逃されやすいですが、初期段階で異常を発見すれば、大きな故障に至る前に対処が可能です。現場の従業員が日々目にする場所だからこそ、気づきを促す仕組みも有効です。
漏電や異常発熱の見つけ方
漏電は感電や火災を引き起こすおそれがあるため、早期の発見が何よりも重要です。以下のような方法で兆候を確認できます。
・漏電遮断器が頻繁に作動していないか
・分電盤や電線からの発熱や焦げ臭さがないか
・赤外線サーモグラフィなどを使った温度確認
・ケーブルの破損や保護管の劣化の有無
目視点検とあわせて、計測機器を使った確認も効果的です。少しの異常でも放置すると深刻な事故につながる可能性があるため、日常点検を怠らず、小さな兆候を見逃さない体制づくりが求められます。
工場でよくある電気トラブルと対処法
工場の現場では、電気設備のトラブルが日常的に発生することもあります。どれほど丁寧に管理していても、経年劣化や外部環境の影響などにより、不具合が起こる可能性はゼロではありません。トラブル発生時には迅速な対応が求められますが、あらかじめ典型的な事例とその対処法を知っておくことで、現場の混乱を最小限に抑えることができます。
以下に、工場で頻繁に見られる電気トラブルと、それぞれの対応策を整理しました。
漏電によるブレーカー遮断
漏電が起きると、感電や火災を防ぐために漏電遮断器が作動し、電源が遮断されます。これは安全装置として重要な機能ですが、何度も遮断が繰り返されると、原因の特定と修復が必要になります。
主な原因としては、配線の劣化、機器の内部絶縁不良、水分の侵入などが挙げられます。現場では、対象の回路を切り分けて原因箇所を特定し、配線や機器の交換、絶縁処理を施すことで再発を防ぎます。点検時には水回りや屋外配線など、環境の影響を受けやすい箇所に注意が必要です。
過負荷による設備の停止
電源容量に対して接続されている機器が多すぎると、過負荷が発生し、ブレーカーが作動して設備が停止します。特に複数の機器を一度に立ち上げたときや、新たな設備を増設した直後に起こることが多いです。
この場合、分電盤の回路設計(負荷の割り振り)や配線の見直しが必要になります。また、工場では季節によって機器の稼働状況が変動することもあるため、消費電力の見える化や定期的な負荷確認も有効です。
電圧不安定が及ぼす影響
電圧の変動が激しいと、機器の誤作動や停止、最悪の場合は故障につながることもあります。特に精密機器や制御装置を多く扱う工場では、電圧の安定性が非常に重要です。
原因としては、電源系統の不具合、受電設備の劣化、雷や落雷による過電圧などが考えられます。対策としては、無停電電源装置(UPS)や電圧調整装置の導入、アースの見直しが効果的です。また、落雷の多い時期や地域では避雷設備の点検も忘れずに行いましょう。
電気保全を委託するメリットと選び方
工場の電気設備は専門性が高く、日常の点検や緊急対応には技術的な知識と経験が求められます。そのため、すべての保全業務を自社でまかなうのは難しく、多くの現場では専門業者への委託が検討されます。適切な委託先を選ぶことで、安定稼働や安全確保だけでなく、コスト管理の面でも効果が期待できます。
ここでは、電気保全を外部に任せる利点と、業者選定時に押さえておきたいポイントを整理します。
専門業者に依頼するメリット
最大のメリットは、専門知識と経験を持つ技術者による点検・対応が受けられることです。設備の劣化や異常の兆候を早期に発見し、適切な対処を行うことで、トラブルの発生頻度を減らすことができます。
また、社内の人手不足や技術継承の課題を抱える企業にとっては、業務負担の軽減にもつながります。定期点検だけでなく、緊急時の対応や法令に沿った記録管理まで一括して依頼できるケースも多く、結果的に工場全体の安全性と効率性を高めることが可能です。
委託先選びで重視すべきポイント
電気保全を任せる業者を選ぶ際には、以下のような点を確認することが大切です。
・工場や商業施設への実績があるか
・対応できる設備や工事の範囲が広いか
・定期点検だけでなく、トラブル時の迅速な対応が可能か
・報告書や記録の提出が明確かつ丁寧か
・安全管理に関する取り組みが具体的か
単に価格だけで選ぶのではなく、保全の質や現場対応力も見極める必要があります。信頼できる業者であれば、工場の運用や設備状況を踏まえた提案も期待できます。
コストと安全性のバランス
保全業務を委託するうえで気になるのがコスト面です。確かに外部委託には一定の費用がかかりますが、突発的な故障や事故によって発生する損失と比較すれば、長期的にはコスト削減につながることもあります。
さらに、法令遵守や点検記録の整備など、事故発生時のリスク管理という観点から見ても、専門業者に任せることの意義は大きいといえます。自社の体制や設備状況をふまえたうえで、安全性と費用対効果のバランスを見極めることが大切です。
AS ONEによる工場の電気保全対応
関西圏を中心に電気設備工事を手がけるAS ONEでは、工場における電気保全にも対応しています。受電設備から動力、照明、さらには太陽光発電設備まで、多岐にわたる電気設備を幅広く取り扱っており、日常の点検から万が一のトラブル対応まで、現場の状況に合わせて柔軟にサポートしています。
ここでは、AS ONEが工場の電気保全においてどのような対応を行っているのか、特徴的な取り組みをご紹介します。
高圧受電設備・幹線工事への対応
工場の電力供給の基幹となる高圧受電設備や幹線工事についても、AS ONEは保全と点検を含めた対応が可能です。受変電設備に関しては、劣化しやすい部品や接続部分の確認、ブレーカーや遮断器の動作確認など、安全面に配慮した点検を行います。
幹線設備では、長期使用による配線の劣化や端子部の緩みなどをチェックし、必要に応じて改修工事を提案。計画的な更新によって、突発的なトラブルを未然に防ぐ体制を整えています。
照明・動力・太陽光設備まで一貫対応
照明や動力設備といった日常的に稼働する設備も、継続的な保全が必要です。AS ONEでは、空調機器やポンプなどの動力設備に対しても、過負荷や振動、異音の兆候を早期に発見し、最適な対応を実施します。
また、太陽光発電設備を導入している工場に対しては、接続部の確認や発電量の測定、不具合の検知といった点検も行っています。省エネや環境対応を図る設備も、安定した運用が保全の対象です。
消防設備と合わせた総合的な保全力
電気設備に加えて、AS ONEでは消防設備にも対応しています。自動火災報知器や非常用照明、誘導灯といった設備の点検・更新をあわせて行うことで、万が一の火災や停電にも備えることが可能です。
電気設備と消防設備の両方を一括で点検できる体制が整っているため、点検スケジュールや対応の手間を軽減しながら、安全性の高い環境を維持できます。工場の保全業務を総合的に見直したいときにも、相談しやすい体制を整えています。
まとめ
工場における電気保全は、日々の安定操業と万が一のトラブル回避、そして従業員の安全を守るうえで欠かせない取り組みです。高圧受電設備や動力、照明といった各種設備は、日常的な点検や計画的な管理によって、その性能を長く維持することができます。
電気保全には、事後対応だけでなく予防的な観点が求められます。漏電や過負荷、電圧の不安定など、よくあるトラブルにはいずれも明確な予兆があり、それを見逃さずに対応する体制づくりが重要です。とくに工場では、設備停止による損失が大きいため、専門業者との連携を視野に入れた保全体制の見直しが効果的です。
AS ONEでは、関西圏を中心に工場向けの電気保全対応を行っており、高圧受電設備から照明・動力・太陽光発電まで一貫した対応が可能です。さらに、消防設備を含めた総合的な保守管理も行うことで、現場の安全性と効率性を両立させるサポートを行っています。
工場の電気保全についてお困りのことがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

